これまでの取り組み

これまでの取り組み

藤田清隆和尚が、ある取り組みと出会い、紆余曲折を経て現在非常食の販売を行うに至るまでの活動経緯をご紹介させていただきます。

一つの記事との出会い

曹洞宗SOTO禅ネット記事(2023.02.10)を目にし、深い感銘を受けました。


その記事では、仏教の「回向(えこう)」という考え方を用いて、地域社会に慈悲の循環を生み出す取り組みが紹介されていました。


「ぜひ、自分の地域でも取り組んでみたい」
そう強く思い、私はすぐに活動の準備に取り掛かりました。


平成28年に県外から移住してきた僧侶として、当時の私は地域の実情を十分に把握できておらず、いきなり「寄付を前提としたレトルト食品を法事のお供えにしませんか」とお願いする勇気はありませんでした。


そこでまずは、古くから法事のお供えとして親しまれてきた「お米」を用いた取り組みから始めることにしました。


地域での実践「えこう米」

地元の米店「入倉米穀」のご主人に思いを伝えたところ、「寄付を前提としたお米の提供」という提案に、快く賛同してくださいました。


私はこの取り組みを「えこう米」と名付け、
「法事のお供えとしてお米を供え、供養の後に地域へ寄付してみませんか」
と檀家の皆さまに呼びかけました。


多くの方がこの趣旨に賛同してくださり、社会福祉協議会を通じて、お米は子ども食堂や地域の支援へと届けられました。


その一方で、社会福祉協議会の方からは
「お米は十分にあるが、レトルト食品などのおかずに困っている方が多い」
という現実も教えていただきました。


そこで、えこう米にレトルト食品を加えたお供え物として
「えこうセット」へと取り組みを発展させることにしました。


災害への「備え」に切り替わるきっかけ ― 能登半島地震

ソナエルprojectには、
「仏さまへ供える」
「功徳を具える」
「災害に備える」
という、複数の「ソナエル」の意味が込められています。


令和6年1月の能登半島地震を受け、私は特に「災害に備える」という側面に向き合う必要性を強く感じました。


お寺は、万が一の際には一時的な避難所となる可能性もあります。
そこで、地元企業に協力をお願いし、企業協賛という形で非常食の備蓄を行いました。


あわせて、防災バッグやヘルメット、飲料水、シュラフなどを整え、有事に備える体制を整えました。


さらに、同年3月15日の涅槃会法要にあわせて、市役所防災課の担当者をお招きし、防災講座を開催しました。
そこで学んだのが、「ローリングストック」という考え方です。


日頃からレトルト食品やカセットコンロ、飲料水を少し多めに備えておくことで、いざという時の安心につながる。
「備えあれば憂いなし」という言葉の、具体的な根拠を知る機会となりました。


ソナエルセット誕生

能登半島地震の後、私は現地での炊き出し支援ボランティアにも参加しました。


そこで改めて実感したのは、
水、食料、トイレ、入浴、生活空間など、
生きていくために最低限必要なものの大切さでした。


この現実を前に、僧侶として自分にできることは何か。
行き着いた答えが、
「災害に備えるための防災啓発を、仏教の文脈で伝えていくこと」
でした。


こうして生まれたのが、ソナエルセット(非常食のお供え物)です。


福島県出身の私は、寒空の中で配られた温かいスープに、ほっと緩む人々の表情を知っています。
僧侶として、仏さまに手を合わせたときの安堵の表情も知っています。


その両方を、これからも大切にしていきたいと思っています。


慈悲の循環

ソナエルセットおよびソナエルminiでは、非常食の賞味期限が近づく前に「賞味期限のお知らせ」を行っています。


これは、食品ロスを防ぐためであると同時に、
「慈悲の循環」を促すための取り組みでもあります。


賞味期限が近づいた際には、
「ご家庭で消費していただく」
または
「お寺を通して、食料を必要とする方へ仏さまの功徳をおすそ分けする」
という選択肢をご案内しています。


回向とは、亡き方のためだけに手向ける行為ではありません。
功徳を巡らせ、衆生へと向けていくこと。
そこに、仏教が大切にしてきた慈悲の本意があるのだと考えています。

地域での実践「えこう米」

地元米店「入倉米穀」のご主人に思いの丈を伝えたところ、二つ返事で「寄付を前提としたお米提供」への快諾を得ました。


私はこれを「えこう米」と名付け、お檀家様に対して「ご法事のお供えとしてお米を供え、供養されたのちに和尚が寄付して、子ども食堂や地域へ寄付をしましょう」と訴えかけました。
多くの方々が「えこう米」をお申込み下さり、社会福祉協議会へとお米を持ち込みました。


ところが、寄付先の社会福祉協議会で耳にしたのは、「おかずに困っている人が多い実情」でした。


そこで、えこう米にレトルト食品を加えたお供え物「えこうセット」の販売に切り替えて、再びお檀家様に訴えました。

災害への「備え」に切り替わるきっかけ「能登半島地震」

ソナエルprojectとは「仏さまへ供える」「功徳を具える」「災害に備える」という様々な「ソナエル」という意味が込められたプロジェクトです。


令和6年1月の能登半島地震を受けて、ソナエルprojectの「災害に備える」に対する取り組みを加速すべく、お寺でも災害対策をすることにしました。


まずは、万が一の時に一時避難所となりうるための備蓄食料は、地元企業に働きかけて企業協賛により非常食の備蓄を行いました。
これに併せてお寺としても防災バックやヘルメット、水、シュラフなどを揃え、有事の備えと致します。


また、同年3月15日の涅槃会法要に合わせて、市役所防災課の担当者をお招きして防災講座を開催。
「備えあれば憂いなし」の根拠を学びました。
日頃から、ある程度のレトルト食品やカセットコンロ、飲料水の備蓄を行う事でいざという時の備えに繋がる「ローリングストック」という考えを得ました。

ソナエルセット誕生

能登半島地震を受けて、私は現地での炊き出し支援のボランティア活動にも参加しました。


そこで改めて思い知らされたのは、飲料水や食料、トイレ、お風呂、生活空間などの生きていくために必要不可欠な最低限の要素でした。


これらと向き合うとき、今の自分に出来るのは「災害に備えるために僧侶が行う防災啓発活動」でした。


これがソナエルセット(非常食のお供え物)が誕生した理由です。
福島県出身の私は、寒空の中で振舞われた暖かいスープに綻ぶ笑顔を知っています。
僧侶である私は、仏さまに守られる安堵の表情を知っています。

慈悲の循環

ソナエルセット・ソナエルminiともに、非常食の賞味期限が切れる前に、「賞味期限通知」を行っております。


これは、もったいないを無くす意味もありますが、「慈悲の循環」を促す目的もあります。


賞味期限が近付くと「そろそろ賞味期限が近いですから、ご自身で消費いただくか、
お寺を通して地域で食料を必要とする方に「仏の功徳」をおすそ分けしてみては如何ですか?」
と訴える取り組みを行っております。


これこそ、回向の真髄であり、廻らし手向ける(亡き方の為だけ)ではなく、功徳を廻らし向ける(衆生に対しての慈悲循環)ということの本意でしょう。